こんにちは
先月は三善設計工務の職員の研修会を行いました。
今回は奈良県にある阪口製材所さんに見学に行かせていただきました。
奈良の木といえば、”吉野杉”が有名ですよね。
三善でも新築・リフォームで杉の木を使うことはよくあります。
杉の特徴でもある木目の模様。縦に裁断した時の独特の木目模様のゆらぎはなんともいえない癒しをあたえてくれます。
吉野杉だけでなく、多くの木を扱っていらっしゃる阪口製材所さんは、天然乾燥の木材を扱う数少ない製材所の一つ。
広大な敷地に、ずらりと並べられた木々はとーーっても迫力があります!
天然乾燥材の魅力、木の特性についてあたらめて勉強させていただきました。
今回は、天然乾燥材の魅力について書いてみたいと思います。
建材として使用される木材は”乾燥”という加工工程があります。
多くの建材は重油を燃焼させた乾燥炉内で短時間で急速に乾燥させる人口乾燥という方法が用いられます。
しかし、阪口製材所では、木の良さをいかす”天然乾燥”で約1年半から2年かけて自然に乾燥させます。
天然乾燥とは、人工的に熱加えたりする乾燥方法ではなく、ある程度の雨風にあてたり、天日下にさらしたりと自然に乾燥させる方法です。これには手間と広大な敷地、そして時間が必要です。
戦後、木造住宅では、木材の見た目が重視され、”割れない木”の需要が高まりによって、人口乾燥が当たり前になってきました。
人口乾燥材は急速に木の水分・油分を抽出するため、割れにくいという特徴があります。
本来、木の割れ目とは、自然に乾燥させた場合、芯材(幹の中心部分)と辺材(幹の外側)の柔らかさの違いによって生じるものです。自然に乾燥させると、若く柔らかい辺材は割れ目が生じやすく、乾燥による収縮で引っ張られるため、割れ目が大きく空いてしまいます。
しかし、心材は固く、密度も高いため割れ目の影響を受けにくいという特徴があります。
なので、割れた木の断面を見ると、心材部分に向けてV字に割れるが決して反対側まで亀裂が入ることはないのです。
木の割れ目は、木の呼吸によって生じる。まさしく”生きている木”そのものなのです。
阪口製材所の社長さんが「天然乾燥の木は生き続けるが、人口乾燥材は私からみれば”元・木”だね」と木に触れながら優しく話してくださった言葉がとても印象的でした。
人口乾燥と天然乾燥の大きな違いはやはり、木の香り、木の粘りが天然乾燥させた木材の方が秀でており、なにより住む人に優しい。これにつきます。
住宅作りに携わる大工さんも、適度な水分・油分を含んだ天然乾燥材は粘りがあり、釘を打ち込んだ時の感覚で天然乾燥されたものか、人口乾燥されたものなのかわかるのだそうです。
木は割れる、曲がる、そんな木の短所といわれる性質を木のプロとして説明してくださり、同時に木の良さを改めて感じることができました。
阪口製材所の皆さんに、天然乾燥材のこだわり、魅力をたくさんおしえていただきました。
三善設計工務も、木の魅力を住む人に感じていただける家をこれからも作り続けていきたいと思います。
阪口製材所の皆さんありがとうございました。